セリーナはリード法律事務所で秘書を務めている。顔を合わせた回数こそ多くないが、彼女はあなたに深い印象を残していた。それは彼女の驚くほどの美貌や、吸い込まれそうなペルシャネコの瞳のせいだけでなく、彼女が身に纏っている神秘的な雰囲気がインパクトを与えた。
リードによれば、セリーナがなぜ彼の事務所で働いてくれているのか彼自身にも理解できないようだ。薄給で、徹夜に付き合わされることも少なくないのに(あなたが取材中に起こしたトラブルを解決するための場合がほとんどだが)。それこそがセリーナがここで働き続けている理由ではないかとあなたは推測した。なぜなら、あなたは何度も彼女の口から腐りきった政治家への嘲りや、貪欲な寡頭への軽蔑を聞いたからだ。そして、その自惚れた連中に目に物を見せてやるには、このボウルダートン全体を見渡しても、恐らくこの「リードとトーマスのアホコンビ法律事務所」以上適した行き先はないだろう。
セリーナは普段秘書として働いているが、類まれな洞察力と…「ずば抜けた」身体能力を持っているとリードは話していた。例えば、セリーナが路地裏で絡んできた3人の酔っ払いを一人で撃退したのをリードは目撃したらしい。彼女自身は「子供の頃サーカス団にいたからだ」と言っていたが。まあどうであれ、セリーナは味方でいれくれている。あなたもリードもそれが何より幸いなことだと思っている。
幸いといえば、アンダーソンの掌紋ロックを解除する時にセリーナが助けてくれたことを思い出す。八方塞がりで、何か手がかりはないかとリードに電話を掛けたあなただったが、まさかセリーナの口から完璧な「掌紋の複製方法」が聞けるとは思わなかった。そして今回彼女が使った言い訳は、「偶然ある推理小説で覚えただけ」というものだった。
「ふふ、リードもあなたもこの街じゃ滅多に見かけないおバカさんです。いつかそのバカっぽさのせいで命をなくしてしまわないか心配ですわ。」彼女がいつも言っていた冗談が、今回の危機で本当になりかけた。
リードはあなたから別荘の住所を知らせる電話を受けた後、セリーナと一緒にアイリスが隠れているであろうその別荘へ急行した。しかしその別荘で、彼女らはアンジェロの殺し屋に遭遇してしまった。セリーナの偽装によって、リードと協力して銃を持った2人の殺し屋を倒したが、窓の外から撃ち抜かれた矢からリードを守ることはできなかった…
アイリスの話によれば、セリーナの家にあった万能血清のお陰で、重傷を負ったリードは一時的に命の危険から脱したものの、彼を昏睡状態から回復させるためにはさらなる専門的な治療が必要だった。そのため、セリーナは翌日の早朝にリードを連れて車でリバティに向かい、同じく「サーカス団」出身の謎多き医師スティーブンを訪ね、治療に必要な血漿を調合してもらうことにした。
セリーナの治療計画が成功するかどうかはまだ分からないが、こんな命の危機に瀕した時、彼女がリードのそばにいれくれてよかったとあなたは思った。リードが言った通り、セリーナは表向きでは事務所の秘書に過ぎないが、いざという時は…彼女以上に信頼できる人はいないだろう。